2014年9月21日日曜日

リーダーシップのかたち





スコットランドにある遺跡、巨大な環状列石(ストーンサークル)の通称<ロングメグと娘たち>。平坦な野原にあり、環が大きいので、環の印象が強くありませんが、まぎれもなくストーンサークルの形状をなしていて遺跡として観光名物にもなっています。

平均10屯、最重量は28屯もある花岡岩の巨石の環の10メートルほど外側にロングメグと呼ばれる背の高い人間の顔のような巨石が建っています。

ロングメグと呼ばれている巨石は高さは3.6メートル、石の中央に旧石器時代の物と思われる紋様が刻み込まれていて、娘達のような花岡岩ではなく色も違います。一連のストーンサークルが人間の手によるものだと想像がつきます。

学者たちが様々に研究を重ねていますが、祭壇なのか目的も意味も未だにミステリーだそうですです。





巨石の数が多いので、これが家族なのか、部族なのか、分かりませんが家族も部族も共同体です。長と思われるロングメグが環の内側の中央にあってもおかしくないのですが、環の外にあることに、とても興味深いものがあります。

「石を探し求める旅」(M・スコット・ペット著)では、<ロングメグと娘たち>に関連して親子関係について語られていて共感する点があります。自立した子どもは親に興味を持ってほしいと思いながら、むやみに愛してほしくはない。親は子を思い、どれだけいたわり尽くしても、その現実を受け入れるしかないと言うのです。著者は自身の親子関係と関連づけ、ロングメグを親に見立てているのです。

それもこれもロングメグがストーンサークルの外側にあることです。

「石を探し求める旅」の著者は自立した子どもとの関係で語っていますが、自律できる組織を組織図にすると同じような状態になります。

<ロングメグと娘たち>と同じくリーダーは環の外側に立ち、環の中央には、目に見えないリーダーシップが入ります。リーダーシップとは経営理念とも呼ばれたりします。<在り方>です。

自立した子どもは親に興味を持ってほしいと思いながら、むやみに愛してほしくはない。これは子どもが責任を引き受けて生きようとしたときの必然です。親は寂しく思いますが、その感情は子にとって障害以外のなにものでもありません。親は邪魔しないように後方から見つめているしかないのです。不要な手助けは能力の値引きにしかなりません。

では<興味を持ってほしい>とはどういうことでしょう?何に興味を持てばいいのでしょう?
そこに親子の共有、共感が潜んでいます。目に見えない<絆>がそこにあります。

自立した子は家族のリーダーになる必要があり、リーダーシップを必要とします。しかしリーダーシップを身につけていてもいなくてもリーダーになります。もしリーダーシップを身につけていなければ幸せを引き寄せる力も弱まります。

そうすると人間の複雑なことが多々起りますが、子どもはおかまいなしに人生と向き合わなければなりません。親がしてやれることは、成人するまでにリーダーシップを教え込み、生涯目に見えないリーダーシップを羅針盤にして生きる習慣を身につけさせることです。それが終われば環の外、つまり境界の外から見ていてやることなのです。

<興味を持ってほしい>には個人差があります。人生の責任を積極的に引き受けたいと思う子から、責任から逃げ続ける子までいろいろです。しかしどんなレベルにいても自尊心がある限り、自分の代わりに人生をやってくれとは思っていても言えないものです。


思っていても言えないところに虚実入り乱れる混乱が生じ羅針盤を保つ事はできなくなります。やり直せる態勢ができるまで、リーダーシップなきリーダーを演じるしかなくなります。結果として共同体は機能しなくなります。

原因はリーダーシップを羅針盤にして生きる習慣を身につけさせることに失敗したからです。対策はリーダーシップを羅針盤にして生きる習慣を身につけることです。

その手法がクレドです。しかしクレドはテクニックではありません。手法は核心ではありません。社会を含むステークホルダーとの関係と約束によってリーダーシップを再生することです。

同じことはチーム、共同体であれば、会社でも起っています。政治でも起っています。狂ったリーダーシップの最たるものはヒトラーとドイツで学べます。近くは民主党と日本でも学べます。優れたリーダーシップは探せばいくらでも見つかります。

探すのは「WHY ?(なぜ?)」と思うことから始まります。リーダーシップの始まりは「WHY ?(なぜ?)」です。





巨大な環状列石(ストーンサークル)の通称<ロングメグと娘たち>の中央には目に見えない「WHY ?(なぜ?)」が置かれているとイメージしてみてください。

そして中央に置かれた目に見えない「WHY ?(なぜ?)」から周囲を見渡すと、そこにはステークホルダーが並んでいて、その環の外に巨大な背の高い石、つまり社会が建っています。


<ロングメグと娘たち>にはリーダーシップ(羅針盤)から発信された絆が見える気がします。




現ヤンキースの田中将大投手を育てた駒澤大学附属苫小牧高等学校野球部の選手たちは、どのような機会でも「質問ありますか?」と聞かれると全員が挙手するそうです。

当時、中学生の田中 将大投手が見学に訪問、即断で関西から野球留学を決めた苫小牧高等学校野球部にはなぜ?」を尊ぶ風土が類い稀なリーダーシップから育まれたことは間違いのない事実なのです。

田中投手は「この風土で自分を育てて欲しい」と自ら求めたのです。自律→相互依存→自立→相乗効果→リーダーシップが描く幸福な成功の見本のような話です。














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